建築読書日記(建築に関わる歴史の本)
著者一覧 あ行 市村高男、今井誠則、網野 善彦、今谷 明、板倉 聖宣、石井 進、 
か行 黒田日出男、五味 文彦 小泉和子、笠松宏至、小林登志子
さ行 白川部達夫、繁田信一、白水 智、関幸彦、鈴木理生
た行 谷本雅之、ドナルド・キーン  な行 中沢新一、 
は行 橋本克彦、藤本正行、萩原裕雄、林玲子、本郷和人、藤原良章、藤木久志  ま行 馬淵和雄、 
や行 山室恭子、山本夏彦、山内義治、山本淳子  わ行 渡辺 英夫
 

大江戸の正体 著者 鈴木理生 三省堂

江戸時代を通じて絹製品は輸入超過であり、幕末に至ってようやく国産化が進み、明治になって花開いたと云う。また、江戸の町屋式の変遷、武家地に町屋が入って行く歴史を詳しく書いてある。町場の都市計画と武家、社寺地域の都市計画が別であり、江戸の町の中心が伝馬町から創られたこと、最後の方に出開帳と富籤の歴史も詳しく書かれている。
 

鎌倉殿誕生 著者 関幸彦 山川出版社

頼朝の挙兵から、京都への上京までの10年間の動きと鎌倉幕府の創世の時代を描く。謀反の政権誕生から実権を握るまでの頼朝の動きを詳しく書かれています。
 参考文献
日本封建制度成立史 著 牧健二 弘文堂   1935  武家時代の研究 著 大森金五郎 冨山房 1936
中世的世界の形成 著 石母田正 東大出版会 1957  源頼朝 著 永原慶二 岩波書店 1958
地頭及び地頭領主制の研究 著 安田元久 山川出版社 1961 源頼朝 著 安田元久 弘文堂  1958
鎌倉幕府(日本の歴史7) 著 石井 進 中央公論社 1965 武士の登場(日本の歴史6) 著 竹内理三 中央公論社 1965
日本中世政治史研究) 著 上横手雅敬 塙書房 1970 武士世界の序幕 著 安田元久 吉川弘文館  1973
鎌倉幕府と源頼朝 著 安田元久 教育社    1977 日本初期封建制の基礎研究 著 安田元久 山川出版社  1976
坂東武士団の成立と発展 著 野口実 弘生書林 1982 日本の中世国家 著 佐藤進一 岩波書店 1983
武蔵の武士団 著 安田元久 有隣堂  1984 鎌倉武士の実像 著 石井 進 平凡社  1987
頼朝の時代 著 河内祥輔 平凡社   1990 源義経 著 関幸彦 清水新書      1990
中世都市鎌倉の風景 著 松尾剛次 吉川弘文館 1993 武者の世へ 著 入間田宣夫 集英社   1991
武士の成立 著 元木泰雄 吉川弘文館     1994 中世東国武士団の研究 著 野口実 高科書店  1994
中世成立期の軍制と内乱 著 福田豊彦 吉川弘文館  1995 武家の棟梁の条件 著 野口実 中央公論 1994
頼朝の精神史 著 山本幸司 講談社  1998 運慶の挑戦 著 上横手雅敬 他 文英堂 1999
   
 

天皇の思想 著者 本郷和人 山川出版者

鎌倉時代以降の天皇の政務の場所と政治を司った公家の家系がどのように離合集散していったか、鎌倉幕府と京都の天皇家との関わりかた、実際に朝廷で、院政の中で誰がどのような資格で文書を発行していたかを古文書の中から発見し、北畠親房の書いた神皇正統記の中身と思想を書き起こしている。
 

武力による政治の誕生 著者 本郷和人 講談社選書メチエ

「大きな物語」の終焉と地道な古文書の解析と実証により、「小さな物語」の生産によって、歴史の再構築が必要だと語っている。このれまでに書かれた歴史書が権力のある場所を正確に記していないと考えている。誰が利益を得て、誰が損をしているか、詳しく調べてみると新たな歴史像が構築出来るだろうか。
 参考文献
 日本に古代はあったのか 著 井上章一 角川選書 2001、 
 

江戸図屏風の謎を解く 著者 黒田日出男 角川選書

江戸初期に描かれた江戸図屏風・数葉の制作年や発注主を推論し、解き明かす論をおこいしている。最初に江戸絵地図に描かれた屋敷の正確さ、多く残っている寛永絵地図を比較して、屏風に描かれた屋敷地の検討している。次に歴博所蔵の江戸図屏風に描かれている屋敷などがその当時のものかを考察している。最後に江戸天下祭図屏風の制作年や発注主を推論している。
 参考文献

 日本地図史 著 秋岡竹次郎 河出書房  1955、 日本地図作成史(日本古地図集成) 著 秋岡竹次郎 鹿島出版会 1971
 地図の歴史ー日本編 著 織田武雄 現代新書 1974、古地図の博物史 著 織田武雄 古今書院   1998
 古地図抄 著 室賀信夫 東海大学出版会 1983、  ちずのしわ 著 海野一隆 雄松堂出版    1985
 地図の文化史 著 海野一隆 八坂書房  1996、  地図に見る日本 著 海野一隆 大修館書店  1999
 ちずのこしかた 著 海野一隆 小学館  2001、  都市図の歴史―日本編 著 矢守一彦 講談社 1974
 古地図と風景 著 矢守一彦 筑摩書房  1984、  古地図への旅 著 矢守一彦 朝日新聞社   1992
 古地図の知識100 著 岩田豊樹 新人物往来社 1977、  

 地図と絵図の政治文化史 黒田 編 東大出版会 2001、龍の棲む日本 著 黒田日出男 岩波新書 2003
 図説 江戸図屏風をよむ 著 小澤弘・丸山伸彦 河出書房新社 1993、 江戸図屏風をよむ 著 水藤真・加藤貴 東京堂 2000 
 都市図の系譜と江戸 著 小澤弘 吉川弘文館 2002、
 
団塊の肖像ーわれらの戦後精神史ー  著者 橋本克彦 NHKブックス
団塊の世代として外から見る目ではなく、団塊の世代を内側から見た世代論。とやかく言われるような団塊の世代も中を見れば、その他の世代と違いはなく、その数の多さのために尖った部分が世代の代表と見られている。
 
黄金太閤ー夢を演じた天下びとー  著者 山室恭子 中公新書
これまで言われて来た太閤秀吉の行動を宣伝戦という形で歴史を解明している。古文書の分析とその発行日まで詳細に解析して、歴史に起こった事実とその後の歴史説明の違いを書いてある。
 
黄門さまと犬公方  著者 山室恭子 文春新書
水戸黄門の水戸藩襲封と後継者選定の謎を解明している。巷間言われている事と実際の違い、兄の子供と自分の子供の交換、その謎の物語も面白い。多くの光圀の人物伝がその秘密を現しているという。
 
僕の叔父さん 網野喜彦界 著者 中沢新一 集英社新書
宗教学者の中沢新一と網野喜彦氏は親戚で、中沢氏が小さい頃からその研究者としての付き合いが有った。そして、学者としての付き合いも長く、網野喜彦氏の研究の諸段階を知っている。アジールの研究、非農業民の研究など網野氏の研究の実際を宗教学者として分析されている。また、網野氏の追悼文としても素晴らしい本であった。網野史学は現代の日本史の中で一般庶民の生活を暗闇の世界から光を当てたような気がする。社寺建築を見て歩くと地域の住民が神社や寺院を大切に扱って来たか、その維持に地域住民の力がいかに必要であったが判明する。宗教学者の中沢新一氏が身内の網野喜彦氏の思想的な変遷を詳しく表し、その活動を身内の目で見た感想を熱く語っている。中沢氏が『あとがき』に書かれた一文は歴史を調べるものに取っては感動をさせる。少し長いが引用する
「古代人が「オルフェウスの技術」と呼んだものをとおして、人は亡くなった人々や忘れ去られようとしている歴史を、現在の時間の中に、生き生きと呼び戻そうとしてきた。墓石や祈念碑を建てても、死んでしまった人たちは戻ってこない。それではかえって死んだ人たちを遠くへ追いやってしまうだけだ。リルケの詩が歌っているように、記念の石などは建てないほうがよい。それよりも、生きている者たちが歌ったり、踊ったり、語ったり、書いたりする行為をとおして、試しに彼らをよみがえらせようと努力してみることだ。」
何処にでもあるような町の隅にある小さなお堂や神社の建物に光を当て、「オルフェウスの技術」を使って建物が建てられた時の様子を死者に代わって語ってみたいと思う。
 
中世東国内海の世界ー霞ヶ浦・筑波山・利根川ー 監修 市村高男 編 茨城県立歴史館 高志書院
常総地方の霞ヶ浦周辺は現在、利根川東遷後の姿から見ると想像出来ないが、瀬戸内海や東京湾のように海の幸や外海につながった水運の盛んのな土地であったと思われる。流入河川の水量の少なさから長い間、海水であったと思われる。
 
武士から王へーお上の物語ー 著者 本郷和人 ちくま新書
土地の所有と王権が朝廷か幕府にあるか、その権力の移動がどの時代にどのように変化したかを古文書より思考している。テーマを実情(ザイン)と当為(ゾルレン)に分けて王権がどのように判断したかを記してある。何故、天皇制が残ったか、幕府がその存在価値を天皇制の中に置いたかが書かれている。
 
源氏物語の時代ー一条天皇と后たちのものがたりー 著者 山本淳子 朝日新聞社
源氏物語が書かれた一条天皇の時代を后たちの運命と貴族たちの活動と交流を描いている。天皇の后たちとその母の権力の出所が判明する。『枕草子』の清少納言、『源氏物語』の紫式部と后たちの関係も面白い。
 
シュメルー人類最古の文明ー 著者 小林登志子 中公新書
著者は政府の役目を中国の古典も含めて、社会の安定の為には貧富の格差の是正と云っている。論語では「寡(すくな)きを患(うれ)えず、均(ひと)しからずを患(うれ)ふ 。」とあり、ある程度の貧富の差は致し方ないとしても、大きくなるのは社会が不安定になると言っています。古代のメソポタミアでも、技術の発展により貧富の差が大きくなると社会が不安定になり、為政者としても格差是正の為に徳政令が行われたようだと著者は書いています。
 
徳政令ー中世の法と慣習ー 著者 笠松宏至 岩波新書
金持ちが何時までも金持ちではないように、物と金がどのように移動していったかを、徳政令と云う法律のフィルターをかけて中世の時代の慣習と生活の一端を見ることが出来る公的な物が私物に、仏物、神物が僧物、、神官物に、僧物、、神官物が私物に変換していく様を明らかにしている。
 
飢餓と戦争の戦国を行く 著者 藤木久志 朝日選書
前に一色史彦先生に建築が景気の良い時ばかりに作られるのでは無く、飢饉の時にも沢山作られることを聞きましたが、この本を読んで納得しました。有徳人(お金持ち)が飢饉の時に大きな事業を興し、多くの人に仕事を与えることは難民を救済し、飢えから人々を助ける慈善事業だというのです。多くの歴史書に「人民の苦しみをかえりみぬ暴挙」と非難された、東山文化を築いた足利義政も、飢饉の世に莫大な金額をかけて建立した銀閣寺は難民を救済する慈善事業であるかもしれないと書かれています。
 
知られざる日本ー山村の語る歴史世界ー 著者 白水 智 NHKbooks
表立った歴史書には現れない山村の実態を古文書から解析しています。現在では2.5%の人しか住んでいない土地が日本国土の3割から4割を占めています。この土地には過去にはもっと多くの人が住んでいて、豊かな生活をしていたことが書かれています。山村は貧しいものだと言う都会住みの人間の願望が古文書にも書かれている。北越雪譜を書いた鈴木牧之が江戸時代の中期以降にも堀立柱の建物があったことが記されています。
 
殴り合う貴族たちー平安朝源氏物語ー 著者 繁田信一 柏書房
藤原道長時代の貴族の生活を「殴り合う」という観点から眺めた生活を記述してあります。また、貴族の生活の拠点も書かれており、権力の基点も考えられています。資産の相続を考えて面白いと思われます。
 
大衆観光の生態史ー日本とイギリスー 著者 今井誠則、山内義治 渓水社
大衆観光は日本とイギリスで始まり、世界に広がったと言う。日本では蟻の熊野詣でといわれたように平安時代より紀州の熊野詣では賑やかでした。なかでも後白河天皇は熊野に34回も参りました。天皇の行幸となれば、随行の人数も百人は下りません。その人員のための宿泊施設、食事などの用意など、多くの人を旅立たせるための設備が整っていたことがありの熊野詣でを成り立たせたものと考えられます。
 この本の3分の2は日本とイギリスの綿産業の発達の歴史です。両国の綿産業の発達が一般庶民の所得の増大と余暇の拡大を促進し、また、所得が増えなければ旅行に行く資金が溜められず、余暇の増大が無ければ旅行に行くゆとりも取れないと言っています。 旅の目的は異文化の体験であり、人との出会いであるとも行っています。
 
近代日本における企業家の諸系譜 著者 谷本雅之 大阪大学出版部
 江戸崎町鳩崎の関口八兵衛家の古文書から近代醤油醸造業の盛衰を掲載。関口家文書の中には松浦冶兵衛家の文書も含まれている。
 
東と西の醤油史 著者 林 玲子 吉川弘文館
 関西と関東、その他の地域も独自の醤油文化がある。中小の醤油醸造業をはじめ、問屋組合、企業教育などをとりあげ、その実態を解明し、小豆島や福岡の事例等を紹介する。近世から近代にいたる醤油に関わる諸問題を追求した論文集。
 
上方と江戸 著者 林 玲子 吉川弘文館
 上方と江戸を結ぶ流通と金融などを解説し、通運の形態、商品の流れ、商業形態の変遷などが語られています。多くの古文書を使っての説明されています。
 
醤油醸造史の研究 著者 林 玲子 吉川弘文館
 千葉県銚子市にあるヤマサ醤油とヒゲタ醤油に残されていた大量の古文書の解析による、林玲子先生を筆頭に醤油醸造史研究会の日本醤油醸造史論文集。
 
関東の醤油と織物 著者 林 玲子 吉川弘文館
 商家に残る古文書を読み解いて、産業・商業の成り立ち、流通、金融などを詳しく解説し、地域文化を案内してくれます。特に茨城県に関しては下館の中兵家、土浦の大国屋、銚子のヤマサ・ヒゲタ醤油の流通、金融を詳しく書いてあります。私の家(松浦家)に関する記事もあります。
 
私の岩波物語 著者 山本 夏彦 文芸春秋
 この本は氏によると社史はどのような豪華本でも誰も読んでもらえない、と書いてあります。明治大正昭和の出版社、印刷、製版、製本の歴史を記述して、氏の雑誌「室内」の歴史を語っています。
 その中に建具の本「建具のいまむかし」を書いた、粕谷奎三氏の文が出ていました。
「昔は良かったという人がある。ついでに昔の職人をほめ、そのぶん今をけなしていい気分になる人がある。職人の一人として迷惑だ。名人上手の物語は、つくり話か伝説で、腕なら今の職人の方が昔より上だといってきかない人がある」と書かれてありました。
 
江戸豪商100話 著者 萩原 裕雄 立風書房
 江戸初期から土木、建築、水運、などあらゆるものから利益を生み出して来た商人達の活躍が描き出されている。紀伊国屋文左衛門も奈良屋茂左衛門も材木の販売で巨大な利益を作り、財を成した。
 
絵巻に中世を読む 著者 藤原良章・五味文彦 編 吉川弘文館
 平安時代から近世までに残された絵巻、絵画などに残された風景、民俗、建築、衣装などの絵画史料から歴史を読み解くことを目的とした本である。この中には建築も入っており、当時の人々がどのような家で生活をしていたことが解る。
 
東廻海運史の研究 著者 渡辺 英夫 山川出版社
 東北諸藩による東廻り海運の茨城の輸送の歴史、那珂湊や潮来、銚子の発展の道程が詳しく書かれています。利根川の東遷 により、利根川水運との関係、潮来周辺の浅瀬化による米蔵の移動、など霞ヶ浦水運と東廻り海運の変遷など詳しく書かれている。
 
足利義政 著者 ドナルド・キーン 中央公論新書
 ドナルド・キーン氏が室町時代の東山文化を著述。氏によれば銀閣寺を見て、驚くものは無い、そこには現代の建築や庭園、文化が息づいているという。義政という将軍は政治家としては無能であったが、文化の伝導者としては異能の才能を発揮し、現代の日本文化と云われるもの(生花、茶道、能、狂言、書院造)のほとんどがこの時代に元を発すると云う。
 
中世の村を歩く 著者 石井 進 朝日新聞社
 中世の都市や村を現地を見ながら、文献の解析をしている。この本を読みながら、奈良町や鎌倉の市街を歩くのも楽しいと思う。荘園の成り立ちや運営の方法も判る。03.5.17
 
歴史の見方考え方 著者 板倉 聖宣 仮説社
 理系の目で見る歴史。日本の人口の推計や食料の生産など、多くの統計資料から日本の人口を考えている。農地の一反が古代では三十歩×十二歩であるのは驚きました。一坪が一人の一日分の食料であるのも勉強になった。03.5.17
 
籤引き将軍・足利義教 著者 今谷 明 講談社選書
 籤引きで選ばれた室町幕府・足利将軍の選ばれ方。それまでの日本の天皇や重大事の占いや籤の実際などを歴史の中から探し出して解説している。義教の治世については、あまり詳しくは書かれていなかった。2003.6.20
 
武士と文士の中世史 著者 五味 文彦 東京大学出版会
 鎌倉武士の生態と生き方。畠山重忠が謀反の疑いをかけられた時の弁明に「重忠が如きの勇士は、武威に募り人庶の財宝などを奪取って、世渡の計らひとなす の由、若し虚名に及ばば、尤も恥辱たるべし、謀反を企つるの由、風聞せば、還りて眉目と謂ふべし、但し武家当世を以て、武将の主と仰ぐの後、更に弐ごころ無し」と。この弁明は頼朝に受け入れられた。また、鎌倉武士の都市での生活などが書かれている。都市での住宅の配置は通りに路地を設け、路地に門を作ることが特徴であると云っている。
 
鎌倉大仏の中世史 著者 馬淵 和雄 新人物往来社
 鎌倉大仏の成り立ち、その裏でうごめく、真言律宗の活動、西大寺・叡尊の関東下向。忍性の関東での活動など、鎌倉大仏製作に関わる鎌倉幕府の動きを少ない資料から推理をしている。
 
日本中世に何が起きたか 著者 網野 善彦 日本エディタースクール出版部
都市と宗教と「資本主義」
 商業地は境界に出来る。自然と人間、領地と領地の境、川の中州、河原など物を交換する場所が境界地に出来、そこで商業活動が始まったと云う。農業以外で活動する人々が物を交換し、生活していく場の発展が絵巻物など今まで歴史資料とみなされなかったものから解明されていく。
 
江戸地廻り経済と地域市場 著者 白川部達夫 吉川弘文館
 明和安永期の土浦河岸の活動とその販売商品の動向、幕末における土浦の醤油醸造の経過と経営の変遷、竜ヶ崎の乾鰯販売の状況と農村における肥料の使い方、また牛馬の取り引きとその運用の歴史的経過を研究した歴史書である。
 
鎧をまとう人びと・合戦・甲胄・絵画の手びき 著者 藤本正行 吉川弘文館
 絵巻・肖像画の甲胄から鑑賞する際、何を中心に見たらよいのか。着眼点を解説し、絵画史料に秘められた情報から、武士の世界を推理する。鎧の種類やその変遷、時代差が判る。歴史・国文・美術史・風俗史を学び楽しむ最良の入門書。
 
2007.3.22