古社寺遍路
1・常陸の古社寺を歩く(八郷町・善光寺)
破損が進む、八郷町善光寺
八郷町太田・善光寺  


 常陸の国の古社寺遍路は写真を見ても判る通り、破損の進んでいる八郷町太田の善光寺から出発することにしたい。この建物はこのように傷んでいるが茨城県でも数少ない五間堂の建築である。様式や資料からも少なくても享保年間までには建立されていた建築である。平成15年にはNHKの大河ドラマのロケ地にも使われ、全国的にも有名になった場所である。また、私ども古建築研究会の活動の紹介にも使ってもらった。

 このような形でもテレビに紹介してもらうことにより、復興の一助になればと思ったからである。私が師事している一色史彦先生は私にこう言ったことがある「人に迷惑をかけることは悪いことばかりではない」と、地元の人達が自分の力だけで復興しようと思わないでもっと多くの人達に復興の手伝いを頼まないことにはこの建築の復興は無いと思っている。現代においては多くの人が「人に迷惑
をかけることは良くないことだ」思っている。善光寺もこれまでの500年間地元の力だけで維持して来た。だが、現在この本堂を維持する為には多くの人達に迷惑をかける必要がある。地元、太田だけではなく、八郷町の人、茨城県の人達の力が必要である。この本堂が何時か必ずかつての栄光の時のように復興されることを信じている。その時には私も多くの人に迷惑をかけたいと思っている。
 この本堂の概要は、茨城県八郷町太田に有る善光寺は鎌倉武士・小田氏の創建による もので、山号は月光山無量寿院。「善光寺縁起」によると、この寺、元は山之庄小野村にあり、恵光院善光寺と号し、通 称小野寺といわれた。建久年中(1190〜99)八田知家(小田氏の開祖)の建立という。小田成治の代、文亀元年(1501)三月、月光山頂に移建される。小田城主小田成治の母堂雪主比丘尼、善光寺如来を深く信仰し、寺院造立を志願し、万代不易の地を選んで建立。 寛永五年(1628)火災に遭う。元禄年間に山頂より現在地に移し、「元禄十四年現堂建立入仏云々」という。 山門(1502(文亀2年))は国指定の重要文化財として保存されるが、上記の写 真のように本堂(1701(元禄14年))は 風雨にさらされ破損状態は修理に緊急を要するものであります。 茨城県内でも数少ない五間堂でも有り、 八郷町においては唯一の五間堂なので、是非残したいと思っています。 このページを見た方に保存の方法、アイデアの提案を 古建築研究会にお願いいたします。
 
2004.02.16

戻る