列島古建築紀行 第9回

  
写真・文 宮本和義
  撮影:2018.10

羽黒神社と普門院  山形県米沢市大字関根字坊住上 ★国指定史跡
   羽黒神社・竣工/慶長3年(1598/安土桃山) 普門院・寛政8年(1796/江戸後期)

羽黒神社の創建は大同元年(806)に出羽三山の羽黒山から羽黒神の分霊を勧請したのが始まりとされ、古くから神仏習合し当初は羽黒堂と称した。元亀元年(1570)の横壇原の合戦により社殿を焼失したが、米沢城主・直江兼続が再建したものが現在の社殿である。安政8年に上杉鷹山が師の細井平洲を迎え、羽黒神社から普門院までを案内したと伝わる。社殿は方三間、正面三間向拝付、入母屋造、正面千鳥破風、茅葺屋根。彫刻などの装飾は少なく端正な美しさと力強さがある。全国的に見て知られざる名建築の一つといえよう。随神門も同時代のものだろう。羽黒神社とほぼ同一域にある普門院の本堂は桁行9間入母屋造、茅葺屋根。庫裏も同様である。山門は切妻造、茅葺の一間一戸の四脚門。車で僅かの場所にある笹野観音堂(天保14)も見事な茅葺の御堂なので合わせて訪ねた。


写真/上3点・羽黒神社  下2点・普門院

 
2019.11.30