列島古建築紀行 第11回

  
写真・文 宮本和義
  撮影:2018.06

喜多方の長床 -新宮熊野神社拝殿-  福島県喜多方市慶徳町 竣工/鎌倉前期 ★国指定重文文化財

当神社は天喜3年(1055)に源頼朝が陸奥征討に赴いた際、武運を祈って紀州熊野から熊野堂村(現・河東町)に勧請し、後にこの地を訪れた息子・源義家が新宮に移して寛治3年(1089)に完成したとされる古社である。その拝殿「長床」は平安時代の貴族の住宅の主殿の様式である寝殿造りを踏襲した建築で、直径1尺5寸(約45cm)の円柱44本が等間隔の五列並んでおり(中央部6本無)、正面9間、側面4間吹放ちの大空間である。寄棟造、茅葺屋根。かつては修験者の道場として使われたこともあるという。古建築には素晴らしいものが多いが中でもこの長床は屈指である。

 

 
2020.01.04