列島古建築紀行 第1回 |
写真・文 宮本和義 |
撮影 2019.08.14 | |
橋本家住宅 北海道寿都郡寿都町歌棄町 竣工/明治12年(1879) *明治30年説あり |
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歌棄(ウタスツ)とは珍しい地名だが、アイヌ語で「砂が集まる場所」の意という。橋本家は、元は福井県の廻船問屋で、財を成してこの地で仕込屋を始めた。故にこの家は、福井県の本家の庄屋宅を模して建てられたという。仕込屋とは、漁家に物資や資金を貸す商家である。漁家ではないので正確には「ニシン御殿」ではないが、鰊で財を成したのだからやはり鰊御殿で良いのかもしれない。仕込屋の遺構としては道内唯一のものである。撮影時はは「鰊御殿」の看板を掲げる旅館だった。現在は宿ではなく希望者には公開(要予約)もされている。 家は資材集めに三年、施工に四年の歳月をかけて完成した。
ニシン漁の時期には加工などを手伝う出稼ぎの人々が歌を唄いながら列を成して雪道をやってきた、多くは東北人だった。 |
◆写真 上/主屋ファサード 母屋の左右には倉がある 中/帳場 奥に山側の座敷が見える 下/居間 左は帳場 奥は仏間 右/通り土間 暖簾が公私空間を分ける *写真と現況は少し異なる部分もあるが、基本的には変わらない |
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2019.10.01 修正 2014.04.30 |