春の光のような2月の光を受け、秋篠寺へ続く畑の中の小さな坂道をゆっくりと上ると、長い風雪に耐えた南門が正面に見えてくる。
南門をくぐると、一面が鮮やかな緑色の苔に覆われた金堂跡の前に思わずたたずむ。
木々の間から洩れるやわらかい光が、静寂さを際立たせ、心を落ち着かせる。
天平のなだらかな屋根をのせる国宝の本堂では、静かな笑みを浮かべ、しなやかな姿の伎芸天や、衣のひだの木目が美しい本尊の薬師如来などの像が迎えてくれる。
伎芸天には、芸能人や、芸事を習う人々の参拝があとを絶たないという。
本堂の仏像との対話もすんで、芸妓天の優しい微笑みと、ほころび始めた梅の花に送られて秋篠寺をあとにした。 (i)