005・ようこそ尼寺史跡公園

府中小学校の裏に位置するところに広大な敷地面積を持つ常陸国分尼寺跡があります。史跡公園化として整備された尼寺跡は、春になるとみごとな桜の花が咲き、市民のいこいの場となっています。府中小学校の児童にとっては格好の野外教室です。晴れた日の昼下がりには、子供のにぎやかな声が尼寺跡に響いています。

 常陸国分寺尼寺は、天平13年に聖武天皇の詔によって全国66カ所に国分僧寺と国分尼寺が創建され、そのうちの一つとして建てられたものです。このうち国の特別史跡は全国に4カ所しかありません。国分僧寺・尼寺が一緒に指定されているのは石岡市だけで、尼寺の指定は他にはありません。全国的にみても非常に重要な史跡なのです。

 国分尼寺は、別名「法華滅罪之寺」と称し、ここで尼僧たちは法華経によって未来成仏を願ったのです。昭和44年に尼寺跡の発掘調査を行ったとき「法華」と書かれた墨書土器が出土し市の文化財に指定されています。この土器は、市民俗資料館で見ることができます。

 昭和62年に発掘調査が行われた尼寺跡の東側に隣接する若松遺跡。ここからは「尼寺」と書かれた墨書土器が出土しています。これらの墨書土器から、このエリアが国分尼寺であったことと、当時の尼僧が日常的に文字を使っていたことが分かります。発掘された遺物から、様々な史実が解明されているのです。

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